オーガスチンとマルコの家

勤務している高崎聖オーガスチン教会や新町聖マルコ教会の情報やキリスト教文化や信仰などの話題を掲載します。

「プレスリーとゴスペル(4)」

 前回のこのテーマでは 1968年12月3日の エルヴィス・プレスリーの歌手としての再出発のテレビ出演「68カムバック・スペシャル」、特に「If I can dream.(明日への願い)」について記しました。これ以降、エルヴィスはコンサート活動が多くなり、ライブ・アルバムも次々に発表しました。
 私はこの3セットのライブ・アルバム(LP)を持っています。

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 左から、映画のサウンドトラックとして1970年11月にリリースされた『エルヴィスオンステージVol.1』(That's the Way It Is)、1972年6月発売の『エルヴィス・イン・ニューヨーク』(As Recorded at Madison Square Garden)、1973年1月14日0時30分、ハワイのホノルル・インターナショナル・センターから世界同時生中継された『アロハ・フロム・ハワイ』(Aloha from Hawaii Via Satellite)です。ハワイからの衛星中継は、私は高校3年で大学受験間近でしたが、日曜の夜夕食時に食い入るようにテレビを見たことを覚えています。
 エルヴィスのステージは派手な衣装やパーフォーマンスで話題となりましたが、どのコンサートでも必ずゴスペルソングやセイクレッドナンバーを入れていました。「ジャスト・プリテンド」や「アメリカの祈り」、「ユー・ゲイヴ・ミー・ア・マウンテン」等です。
『アロハ・フロム・ハワイ』の「ユー・ゲイヴ・ミー・ア・マウンテン」は下のアドレスから鑑賞することができます。この曲は現代の「ヨブ記」とも言われています。
https://www.youtube.com/watch?v=z7L4l1ow29o

 エルヴィスは、ステージが終わったあとに、ゴスペル・グループのメンバーをホテルの自分の部屋に呼び、夜を徹してゴスペルを歌っていたそうです。そうした部屋には、有名人が多数つめかけていましたが、エルヴィスは彼らにもゴスペルを聴くように促しました。メンバーたちは、異口同音に、エルヴィスに誘われたら断ることはできず、とくに公演の最終日には、朝まで延々とゴスペルを歌い続けたと証言しています。華やかなステージの後に、ホテルの自分の部屋で夜を徹してゴスペルを歌う、それは、彼の浪費し疲れた心身を癒やすとともに、帰るべき場所に戻りそこで憩うことではなかったか、と思います。

 コンサート活動の合間に、エルヴィスは彼にとっての3枚目のゴスペル・アルバム「至上の愛/He Touchd Me 」を制作し、1973年3月にリリースされました。これによって再びグラミー賞(ゴスペル部門) を受賞しました。

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 このアルバムのオープニングナンバー(レコードではA面の1曲目)はオリジナル盤のタイトルにもなっている『He Touched Me』です。エルヴィスは、神に救っていただいた喜びを感謝の気持ちを込めて歌っています。ここから聞くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=96gOjU54YOs&feature=youtu.be

『He Touched Me』の原詩と訳詞を載せます。

『He Touched Me』

Shackled by a heavy burden
 Neath a load of guilt and shame
 Then the hand of jesus touched me
 And now I am no longer the same

He touched me, oh he touched me
 And oh the joy that floods my soul
 Something happened and now I know
 He touched me and made me whole

Since I met this blessed savior
 Since he cleansed and made me whole
 I will never cease to praise him
 I'll shout it while eternity rolls

He touched me oh he touched me
 And oh the joy that floods my soul
 Something happened and now I know
 He touched me and made me whole

  「神様が私に触れてくださった」

数え切れない罪と恥のもとで
 重荷に鎖でつながれていた
 ある時、イエス様が私に触れてくださった
 今はもはや以前の私ではなくなった

彼は私に触れてくださった、ああ、触れてくださった
 私の魂の中を喜びが洪水のように溢れている
 何かが起きた、そして今や私には分かる
 彼は私に触れてくださり、私を完全なものにしてくださった

この祝福された救い主とお会いしたときから
 彼が私を清めて、完全なものにしてくださったときから
 私は決してイエス様を賛美することをやめないでしょう
 私は心から叫び続けます、永遠に続く限り

彼は私に触れてくださった、ああ、触れてくださった
 私の魂の中を喜びが洪水のように溢れている
 何かが起きた、そして今や私には分かる
 彼は私に触れてくださり、私を完全なものにしてくださった

 罪の赦し、救い、喜び・・・それらは皆神様から与えられるものなのであります。日本語では省略されがちな主語ですが、Heは神様を表しています。神様が私に触れてくださるのです。そのことへの感謝と喜びがこの歌には溢れています。

 エルヴィスは、この頃、年間150回近くの過密スケジュールでライブ活動をし、そのためストレスで医師に睡眠薬や鎮痛剤を処方してもらって常用していました。その誤用で心臓発作を起こしました。そして、1977年8月16日にテネシー州メンフィスの自宅で42歳の若さで亡くなりました。

 エルヴィス・プレスリー、偉大なるロックンローラーにしてゴスペルシンガー。今は主の下で安らかに憩うていることと思います。彼の人生から、経済力や名声では人は満たされるものではなく、本来の故郷である神様の下に帰る時、平安が得られることを学びました。
 
 私の手許にトラクト「エルヴィス・プレスリーの本当の真実」があります。

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 このトラクトをお読みになれば、「プレスリーの原動力は何か」が分かると思います。希望される方には無料で差し上げます。ご連絡下さい。