オーガスチンとマルコの家

勤務している高崎聖オーガスチン教会や新町聖マルコ教会の情報やキリスト教文化や信仰などの話題を掲載します。

シュヴァイツアーの思想と音楽

 子供の頃、私の最も尊敬する人物はシュヴァイツァーでした。私と同世代の人で彼を知らない人はいないと思います。しかし、最近の若者や子供は知らない人が多いようです。
 シュヴァイツァーのパイプオルガンの演奏をまた聴いています。相模原殺傷事件が発生し、優性思想の台頭が懸念される今、彼の「生命への畏敬」の重要性を想起します。

 私が聴いているのはこのレコード「シュヴァイツァーの芸術-J.S.バッハ/オルガン曲集」です。

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 以下のyoutubeで、このレコードの中のコラールを聴くことができます。天国から聞こえてくるような音楽です。ぜひお聞き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=ySRsQlgx6hk

 

 シュヴァイツァーについてウィキペディアにこうありました。
『アルベルト・シュヴァイツァー(Albert Schweitzer, 1875年1月14日 - 1965年9月4日)は、ドイツ出身のアルザス人で、ドイツ系の神学者・哲学者・医者・オルガニスト音楽学者。
 20世紀のヒューマニストとして知られている人物である。30歳の時、医療と伝道に生きることを志し、アフリカの赤道直下の国ガボンのランバレネにおいて、当地の住民への医療などに生涯を捧げたとされている。日本においては、内村鑑三などによって古くから紹介され、その生涯は児童向けの偉人伝において親しまれている。
 哲学でも業績を残し、「生命への畏敬」の概念で世界平和にも貢献した。「密林の聖者」と呼ばれている。また、音楽にも精通し、バッハ研究でも有名である。』

 彼の伝記をまた読み返しています。偕成社から出ている「伝記・世界を変えた人々⑦シュヴァイツァー」です。子供向けですが、写真も多く、彼の人生や思想を知るのに適しています。

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 シュバイツアーは「生命への畏敬(生きとし生けるあらゆる生命を尊ぼうという心情)」に関してこう言っています。
『最大の幸福とは、生命を維持し、それを励まし、その価値を十二分に生かすことにある最大の不幸とは、生命を破壊し、生命を傷つけ、まだ発展する可能性のある生命を押さ えつけることである。
 どんな生命もそれだけで神聖なものである。我々人間が到達すべき目標としての「生命への畏敬」は、愛、献身、同情、協力という項目で考慮されているすべてのものの中に包含している。「生命への畏敬」倫理は、衆生いっさいに拡大せられた愛の倫理である。
 人生のたった一つの最上の目標は、人間同士がお互いに、また、すべての創造物に対して、「もっと素朴で、誠実で、純粋で、平和的で、温和で、親切で、慈悲深く」なくて はならない、ということである。』
 これは、現代においても色あせない、非常に重要な思想であると考えます。その底にはすべての人を無条件に愛する神の愛があります。

 しかし、最近、シュバイツアーがマザー・テレサ等と比べて人々に知られなくなったのはなぜでしょうか?
 それは、白人優位からくる「上から目線」、「共に」というより「ために」という慈善的・憐れみ的発想というふうに理解されることが多くなったからかもしれません。

 ウィキペディアにもこうありました。
『自らの神学思想を現地の文化より優先し、また同時代の知識人たちの大半と同様に白人優位主義者の側面を持っていたことも事実である。現に、シュヴァイツァーは「人類皆兄弟」の標語を唱えながらも、あくまで白人を兄、黒人を弟として扱っていたため、ヨーロッパの列強の帝国主義・植民地支配のシンボルと見なしている者も少なくない。』

 そのような側面があっても、「生命への畏敬」の思想や彼のオルガン演奏は素晴らしいし、心を打ちます。ことに、「生命への畏敬」はコロナウイルスの感染拡大に対応する基本理念としても重要であり、もう一度見直されるべきものと考えます。