オーガスチンとマルコの家

勤務している高崎聖オーガスチン教会や新町聖マルコ教会の情報やキリスト教文化や信仰などの話題を掲載します。

『イザヤ書40章とヘンデル「メサイア」』に思う

 先主日降臨節第2主日旧約聖書イザヤ書40:1-11でした。この前半1節から5節は、ヘンデルのオラトリオ「メサイア」の冒頭で歌われている箇所です。
 毎年、アドベントのこの時期になりますとヘンデルの「メサイア」を聞きたくなります。立教大学クリスマス行事の一環で「メサイア」を聞きましたし、バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏でも聞きました。最近では群馬大学の学生管弦楽団・合唱団も演奏しています。立教のメサイアは今年は中止とのことですですが、群大の方は12月19日(土)13:00群馬音楽センターで行われるようです。しかし、今年は密にならないように事前予約が必要とのことです。指揮をしている吉田秀文先生は群馬大学教授で附属小学校校長です。カトリック聖イグナチオ教会の信徒でもあります。10年位前に群馬大学の学生管弦楽団・合唱団で「メサイア」を聞きましたが、2年前のこのコンサートに行って、以前より音が洗練され精神性も増したと感じました。昨年は日曜で行けませんでしたが、今年は土曜なので行ってみたいと考えています。
 
 「メサイア」とはヘブライ語の「メシア」の英語読みです。「救世主」と訳されますが、元々は「油注がれた者」という言葉で、「神から選ばれた支配者、悩める者の解放者」を意味します。
 私が親しんできたのは、このピノックのCDです。明るく屈託のないヘンデルの魅力が溢れています。ちなみに、ヘンデルはバッハと同じ1685年にドイツのハレで生まれ、イギリスに渡り帰化しロンドンで1759年に亡くなっています。独身でした。

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 「メサイア」は3部に分けられています。第1部 預言とキリストの誕生(第1曲~21曲)、第2部 受難と贖罪(第22曲~44曲)、第3部 復活と永遠の生命 (第45曲~第53曲)です。
 メサイアの歌詞はすべて欽定訳聖書と『英国国教会祈祷書』からの引用ですが、第2曲から第4曲がイザヤ書40:1-5の聖句そのものです。原語の英語と日本語の対訳を載せます。

2. Recitative (Tenor)
Comfort ye, comfort ye my people,  慰めよ、汝らよ。私の民を慰めよ、汝らよ。
saith your God;  と、あなたたちの神は言う。
speak ye comfortably to Jerusalem,  汝ら、心地よく、エルサレムに語れ。
and cry unto her  そしてエルサレムに向かって叫べ、
that her warfare is accomplished,  “エルサレムの争いは完了(完成)した、
that her iniquity is pardoned  その不正は許された”と。
The voice of him that crieth in the wilderness,  荒野に叫ぶ者の声がする。
prepare ye the way of the Lord,  “汝ら、主の道を準備せよ。
make straight in the desert  我々の神のための大道を、
a highway for our God.  砂漠の中にまっすぐ作れ。”
  (イザヤ書40:1-3)
3. Air (Tenor)
Every valley shall be exalted,  “すべての谷間は高くせよ、
and every mountain and hill made low;  すべての山や丘は低くせよ
the crooked straight,  曲がった(道)はまっすぐにし、
and the rough places plain.  でこぼこした場所は平らにせよ。”
(イザヤ書40:4)
4. Chorus
And the glory of the Lord shall be revealed,  “主の栄光が明示されるだろう。
and all flesh shall see it together:  全ての肉体は、皆一緒にそれを見るだろう。
for the mouth of the Lord hath spoken it.  主の口が、それを語ったからである。”
(イザヤ書40:5)

    オラトリオ「メサイア」はイエス様の誕生物語でなく、救い主の預言から始めているのも、ユダヤ民族、そして人類が長い間待ち望んでいたメシアがいよいよ誕生するという期待感を曲の冒頭に抱かせます。 
   第2曲のイザヤ書40:3の「汝ら、主の道を準備せよ。我々の神のための大道を、 砂漠の中にまっすぐ作れ。」は先主日の説教でもお話ししたように、この道は元々はバビロン捕囚にある苦しみの中にあるユダヤ人がイスラエルに戻るために神様が整えてくださった道ですが、今度はその道を通ってイエス様の救いに与るように洗礼者ヨハネが「その道を整備せよ」と言っているのです。イエス様の誕生を心待ちにしている今の時期に、私たちがなすべき事を示しているように思います。 
 以下のアドレスからコリン・デイヴィスの演奏を見る(聞く)ことができます。 https://www.youtube.com/watch?v=ZuGSOkYWfDQ
  皆さん、この時期に群大の演奏会やCD、youtubeなどで、ヘンデルメサイア」を聞いてみませんか?