オーガスチンとマルコの家

勤務している高崎聖オーガスチン教会や新町聖マルコ教会の情報やキリスト教文化や信仰などの話題を掲載します。

キング牧師の活動と信仰

 連日、新型コロナウイルスの感染拡大のことが話題になり、感染者に対する偏見・差別も懸念されています。こんな折り、キング牧師の伝記などを読み返しています。
 まずは、以前シュヴァイツァーの伝記についてこのブログで紹介しましたが、それと同じシリーズの偕成社から出ている「伝記・世界を変えた人々②キング牧師」です。小学上級から大人を対象としていますが、写真や解説も多く、彼の活動や信仰を知るのに適しています。中学生はじめ若い人にぜひ読んで欲しい本です。

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 マルティン・ルーサー・キング牧師アメリカの黒人の公民権運動の中心として活躍しました。キング牧師は多くの白人たちからの激しい敵意と憎しみにさらされ、様々な暴力を受けつつ、徹底的な非暴力を貫き、共に戦う人々にもそのことを求めました。そして、最後は銃による暗殺という悲劇的な死を遂げました。
 この伝記に彼の演説や言葉が紹介されています。こうあります。
「この戦いにおいては、非暴力をつらぬかなければなりません。そうすれば、私たちの運動は、法と秩序という最も素晴らしい理念に守られるでしょう。」
「暴力で仕返しをしても問題は解決しません。憎しみには愛で答えなければならないのです。」
 キング牧師の運動の方針は非暴力主義です。暴力に対して暴力で対応せず、非暴力に徹することによって自分の意思を相手に分からせ、自分の考え(それは神の教え)の正しさを人々に訴え続けたのです。その奥には「神に従い、神の国を実現したい」という深い信仰がありました。

 キング牧師の一番有名な演説は、1963年ワシントンでの行進の際にされた「わたしには夢がある」です。
 次の本にはその演説やノーベル平和賞受賞講演などが含まれています。

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「私には夢がある」の演説にこうあります。
「私には夢がある。いつの日か、ジョージア州の赤土の丘で、かつての奴隷の子孫たちとかつての奴隷所有者の子孫たちが、兄弟の間柄として同じテーブルにつくという夢が。」
「私には夢がある。いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが、肌の色ではなく、人格の中身によって評価される国で暮らすという夢が。」
 演説の最後にこう言っています
『我々は神の子全員が、そして黒人も白人も、ユダヤ教徒ユダヤ教徒以外の人も、プロテスタントカトリックも、ともに手をとり合って古い黒人霊歌を歌うことのできる日が来るのを早めることができる。「ついに自由になった! ついに自由になった! 全能の神に感謝しよう、我々はついに自由になったのだ!」』
 この本の「はじめに」にこうあります。
「マーティンは何よりも信仰の人、すなわちその希望を、ただ自分の霊の体の復活に置くだけでなく、彼が説きかつ生きた理念の社会的展開にも置いた、イエスの福音の説教者であった。」
 キング牧師は単なる社会変革の活動家でなく、福音宣教者として神の愛を実践したと私は考えます。
 キング牧師の人種差別・公民権運動における功績は、性差別や障害者差別、民族差別等、現在も続くすべての人権問題の解決に大きな影響を与えています。 私たちは彼の活動の底にある信仰に学びたいと思います。