オーガスチンとマルコの家

勤務している高崎聖オーガスチン教会や新町聖マルコ教会の情報やキリスト教文化や信仰などの話題を掲載します。

昇天日私祷「イエス様の昇天という恵み」

    本日は昇天日。イースターから40日目の祝日です。
 木曜日ですが、高崎の教会でアンテ・コミュニオン(聖餐式前半のみ・私祷)を捧げました。
  福音書の箇所はルカによる福音書24章49-53節。説教ではイエス様の昇天の意味を、「神様の普遍的な愛と私たちが天においてイエス様と共にいるということ」と示し、その恵みに感謝し、今も後もイエス様と共にいることができるように祈るよう勧めました。また、主の昇天の実例としてこども聖歌「主われを愛す」の3番の歌詞を示しました。

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 イエス様の昇天という恵み
<説教>
 父と子と聖霊の御名によって。アーメン

 群馬県では、緊急事態宣言が14日(木)に解除されましたが、当教会では未だ公祷は休止しています。本日及び28日に予定されている国の会議において埼玉を含めた8つの特定警戒都道府県がどうなるか、注視してるところです。

 さて、今日は昇天日です。復活日から40日目の日に当たります。昇天日は7つある主要祝日の一つです。昇天日以外の主要祝日は、復活日・聖霊降臨日・三位一体主日・降誕日(12/25)・顕現日(1/6)・諸聖徒日(11/1)であります。 
 先ほど読んでいただいた使徒言行録によりますと、復活したイエス様は40日にわたって弟子たちに姿を現した後、天に上げられました。そこから、昇天日は復活日後40日目の復活節第6木曜日に祝われることになりました。多くのキリスト教国、フランスやドイツなどでは昇天日は法定休日となっています。
 今日の福音書箇所はルカによる福音書の結びにあたります。ルカは、その続編として使徒言行録を書きました。この2つの書を結ぶのが昇天の出来事であり、この出来事を境にしてイエス様の活動は使徒たちの活動へと受け継がれていくことになります。

 イエス様の昇天については、本日は朗読しませんでしたが、並行箇所のマルコによる福音書16:19に「主イエスは、弟子たちと話した後、天に上げられ、神の右の座に着かれた」とあることに注目したいと思います。
 イエス様の昇天については2つの意味があると考えられます。
 一つはイエス様が天に昇り、神の右の座に着いたということから人の子であるイエス様が神の栄光の状態に上げられ、御父のもとで最高の権威に参与されたことです。父なる神様と一つであることが示されたのです。また、イエス様が神の右に着かれたので、ユダヤ人だけでなく、どんな国の人にも神のもとに私たちは共に歩むことができる。どんな人とも共同体を作ることができる。まさしく神様の普遍的な愛、それを全て受けられるようになった、ということです。
 もう一つは、イエス様の昇天が私たちの昇天の原型であり、保証でもあるということです。本日の特祷に「わたしたちは独りのみ子イエス・キリストが天に昇られたことを信じます。どうかわたしたちも心と思いを天に昇らせ、絶えず主とともにおらせてください。」とありますように、私たちは、私たちに先駆けて天の栄光に入られたイエス様に倣って、いつかイエス様とともにいることができるという希望のうちにこの出来事を祝うのであります。
 このことを示している聖歌があります。こども聖歌(見せる)にもある「主われを愛す」の3番です。こうあります。

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『みくにの門(かど)を ひらきてわれを 招きたまえリ いさみて昇(のぼ)らん
  わが主イエス わが主イエス わが主イエス われを愛す 』
 天に昇られたイエス様は、天国の門を開いて私たちを招いて下さいます。私たちも喜び勇んで天国に昇っていきましょう、という意味です。私たちが天国に招かれるのはイエス様の昇天のお陰なのです。今日はそのことを感謝する昇天日の礼拝なのであります。

 ルカによる福音書50・51節に「イエスは、そこから彼らをベタニアの辺りまで連れて行き、手を上げて祝福された。そして、祝福しながら彼らを離れ、天に上げられた。」とあります。「祝福」という言葉が2回続いて使われています。天に昇る直前も、そして天に上げられながらも、イエス様は弟子たちを祝福されたのです。イエス様は私たちをも祝福されるでありましょう。
 さらに52・53節に「彼らはイエスを伏し拝んだ後、大喜びでエルサレムに帰り、絶えず神殿の境内にいて、神をほめたたえていた。」とありますが、この「伏し拝む」は「礼拝する」ことを表す言葉で、弟子たちがイエス様を礼拝したことが記されています。ここで初めて弟子たちはイエス様とはどういう方であるかを本当に悟ることになったのです。

 ルカは、「復活→昇天→聖霊降臨」を時間的な流れの中で起きた出来事として伝えています。「復活」は、イエス様が死に打ち勝ち今も生きているという面を表します。「昇天」は、イエス様が神のもとに行き、そこで神とともに永遠のいのちを生きる方となったという面を表します。そして「聖霊降臨」は、イエス様が目に見えないけれども私たちのうちに今も働いていてくださることを表していると言えます。
 イエス様の復活の後、教会は昇天を祝い、さらに聖霊降臨、三位一体と祝っていきます。イエス様が父のみもとに帰ることによって聖霊を遣わされる、実にイエス様の昇天は天と地を結びあわせるものでもあります。これは私たちにとって大きな福音(良い知らせ)であり、このことから、昇天日という、この祝日は、私たち一人ひとりの祝日でもあるのです。

 皆さん、イエス様の昇天の出来事は、神様の普遍的な愛と私たちが天においてイエス様と共にいることができるという福音を伝えています。そして、天に昇る直前も、天に上げられながらも、弟子たちを祝福されたイエス様は、私たちをも祝福されております。私たちはその恵みに感謝し、今も後も絶えずイエス様とともにいることができるよう祈り求めて参りたいと思います。