「ピータ-・ポール&マリーの音楽と信仰(2)」
前回はPPM、ピータ-・ポール&マリーの、ことにファーストアルバムの曲にスポットを当てて、その音楽と信仰について思い巡らしました。そこでは3人の聖人の名前を冠したグループにふさわしく、その音楽にはキリスト教的なメッセージが含まれていることを記しました。
今回はPPMのライブ盤の曲に光を当てて、さらに直接的にキリスト教のエピソードを歌っている例を示したいと思います。
このライブ盤は1965年にリリースされた「In Concert」です。
このアルバムは2枚組みで、Paul Stookeyによる物まねやトークも入っており、ライブの醍醐味満点となっています。
今日はその中から、『井戸端の女 Jesus Met The Woman』を取り上げます。
ここから聞く(見る)ことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=bBYCPM1Uu1Y
歌詞はこんな内容です。
1Jesus met the woman at the well
Jesus met the woman at the well
Jesus met the woman at the well
And he told her everything she's ever done
2He said, woman, woman, where is your husband?
He said, woman, woman, where is your husband?
He said, woman, woman, where is your husband?
I know everything you've ever done
3She said, jesus, jesus, I ain't got no husband
She said, jesus, jesus, I ain't got no husband
She said, jesus, jesus, ain't got no husband
And you don't know everything I've ever done
4He said, woman, woman, you've got five husbands
He said, woman, woman, you've got five husbands
He said, woman, woman, you've got five husbands
And the one you have now, he's not your own
5She said, this man, this man, he must be a prophet
She said, this man, this man, he must be a prophet
She said, this man, this man, he must be a prophet
He done told me everything I've ever done
6Jesus met the woman at the well
Jesus met the woman at the well
Jesus met the woman at the well
And he told her everything she's ever done
訳してみます。
1イエス様は女と井戸端で会った
イエス様は女と井戸端で会った
イエス様は女と井戸端で会った
そして、彼は彼女がこれまで行っていた彼女のすべてを語った
2彼は言った、婦人よ、婦人、あなたの夫はどこですか?
彼は言った、婦人よ、婦人、あなたの夫はどこですか?
彼は言った、婦人よ、婦人、あなたの夫はどこですか?
私はあなたが今までしたすべてを知っています。
3彼女は言った、イエス様、イエス様、私には夫はいません
彼女は言った、イエス様、イエス様、私には夫はいません
彼女は言った、イエス様、イエス様、私には夫はいません
そして、あなたはわたしのことを何もご存知じゃない
4彼は言った、婦人よ、婦人、あなたには5人の夫がいたね
彼は言った、婦人よ、婦人、あなたには5人の夫がいたね
彼は言った、婦人よ、婦人、あなたには5人の夫がいたね
そして、今あなたと一緒にいるのは夫ではありません
5彼女は言った、あれまぁ、あれまぁ、このお方ば預言者に違いない
彼女は言った、あれまぁ、あれまぁ、このお方ば預言者に違いない
彼女は言った、あれまぁ、あれまぁ、このお方ば預言者に違いない
彼は私がしてきたことを全部ご存知です。
6イエス様は女と井戸端で会った
イエス様は女と井戸端で会った
イエス様は女と井戸端で会った
そして、彼は彼女がこれまで行っていた彼女のすべてを語った
この歌はヨハネによる福音書4:1-26のいわゆる「サマリアの女」の箇所をエピソード通りに描いています。福音書では、イエス様はサマリアの女に「決して乾くことのない永遠の命に至る水を与える」と示されました。
このライブ盤には、ファーストアルバムにあった「サムソンとデリラの物語」をそのまま歌った「If I had my way」も収められています。コンサートがまるで伝道集会のようです。日本では、ここまで宗教色の濃いコンサートはなかなかないと思います。それが違和感なく行われることに1960年代のアメリカ社会がどれだけキリスト教社会であったかを物語っているようにも思います。
サードアルバムに入っていてジョーン・バエズも歌っていた「私の試練All my trials」では、次のフレーズが繰り返し歌われます。
『All my trials Lord, soon be over.
試練を与えたもう主よ、願わくばこの試練を速やかに終わらせたまえ』
PPM、ピータ-・ポール&マリーは、試練の存在を認め、それを自分の力でなく祈りにより神によって終息することを願っています。
今、新型コロナウイルスの感染という試練に遭遇している私たちは、ジョーン・バエズやPPMのように祈りにより神によって終息することを願うという姿勢に学ぶのも意義あることではないでしょうか?