オーガスチンとマルコの家

勤務している高崎聖オーガスチン教会や新町聖マルコ教会の情報やキリスト教文化や信仰などの話題を掲載します。

本田路津子とキリスト教

    聖公書店が先週の水曜日(17日)に久しぶりに高崎の教会にも来てくれました。その折りに購入した本の中の一冊が本田路津子の自叙伝「マイソングマイライフ」でした。この本に触発され、また彼女の歌を聴いています。

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 本田路津子は本名で、両親がクリスチャンなので「ルツ記」のルツから命名されたことはよく知られています(ご本人が受洗されたのは結婚直前でした)。この本には彼女と歌やキリスト教との出会い等が記されています。
 彼女のデビュー曲は「秋でもないのに」ですが、私が好きだったのは2枚目のシングル「風がはこぶもの」でした。下のアドレスで歌詞付きで見ることが見ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=nlVQzssMXho

 街を歩く時に 風に耳をすませてね
 風の中にきっと 私の声がする
 夜にねむる時も 窓をたたく風の音
 どうぞ聞いてほしい ささやく声がする
 いつも私は 愛の想いを 風の中に 告げているのよ
 私の愛なにも 気づかないのあの人は
 だからせめて風よ 愛を伝えて

 今日も私は 愛の言葉を 通りすぎる 風にたくすの
 私の愛なにも 気づかないのあの人は
 だからせめて風よ 愛を伝えて 愛を伝えて

 風はヘブライ語でルーアッハ、ギリシャ語ではプネウマです。この言葉は、風の他、息や聖霊を意味します。
 今読み返すと「今日も私は 愛の言葉を 通りすぎる 風にたくすの」とは、神が聖霊を通して愛の言葉を私たちに伝えているように思うのです。そして最も大切なのは愛であると、この歌で教えているように思いました。

 今、朝ドラ「エール」が話題になっていますが、本田路津子は1972年の連続テレビ小説藍より青く」のテーマソングを歌い、紅白歌合戦にも2年連続で出場しました。1975年に芸能界を引退し、受洗、結婚し夫の仕事の関係でアメリカで生活します。9年後、一時帰国した時に、勧められて初めて讃美歌のアルバムを製作しました。その当時はカセットで発売されました。私はカレッジフォークの歌姫だった彼女が讃美歌を歌うというので、すぐに購入しました。

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 このカセットA面の1曲目の「小さなかごに」は、ミッションスクールでよく歌われる歌ですが、私も大好きな曲です。
 
 小さなかごに花をいれ さびしい人にあげたなら
 へやにかおりが満ちあふれ くらい胸もはれるでしょう
 愛のわざは小さくても 神の御手がはたらいて
 悩みの多い世の人を あかるくきよくするでしょう

 「おはよう」とのあいさつも こころこめて交わすなら
 その一日おたがいに よろこばしく過すでしょう
 愛のわざは小さくても 神の御手がはたらいて
 悩みの多い世の人を あかるくきよくするでしょう

「愛のわざは小さくても 神の御手がはたらいて 悩みの多い世の人を あかるくきよくするでしょう」はマザー・テレサの言葉「愛とは、大きな愛情をもって小さなことをすることです。Love is doing small things with great love.」を思い起こします。

 本田路津子はその後多くの讃美歌のアルバムを製作し、多くの教会でゴスペルコンサートを開いて、今年がデビュー50周年となり記念のアルバムが発売されました。

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 今回のアルバムでは8曲中3曲が日本聖公会の聖歌でした。そして、アルバムタイトルの「聖なる主」は彼女自身の訳でした。下のアドレスで演奏を見聞きすることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=hd2ugWT_Hxo

 澄んだ歌声はそのままで円熟の境地を感じさせます。原曲はフランクの「天使のパン」ですが、彼女自身が特別な思いで訳しています。
 
 聖なる主よ 誉むべき主よ 恵みとまことの愛なる主
 弱き我に 力与え 主よ 主よ 強めたまえ  
 主よ 主よ 助けたまえ

 罪の中に迷う 我を 清めたまえ 聖なる主
 暗き世から 救いたまえ 永遠の命 与えたまえ
 あなたのみ業 我らは誉め歌う

 コロナウイルス感染により、世界中が暗澹たる思いをしている今、歌詞の「暗き世から 救いたまえ 永遠の命 与えたまえ」は心に響きます。最終的に人々が求めているのは「永遠の命」なのではないか、と思わされます。
 
 冒頭、紹介しました彼女の自叙伝「マイソングマイライフ」の中で、「神から与えられたタレント(才能)を土の中に埋めてはいけない」との思いで最初の賛美アルバム「小さなかごに」をレコーディングしたとありました。
 彼女のような透明感のある歌声(シルキーボイス)ではないかもしれませんが、すべての人は神様から何らかのタレント・賜物を与えられています。私にとってはこれまでの経験や文化面での知識、ピアノ演奏、ミュージック・ケアなどかもしれません。それを土の中に埋めるのでなく、何らかの形で生かすことを神様は求めていると考えます。それは私だけでなく、今このブログを読んで下さっているあなたにも神様が求めておられることだと思うのであります。